ウォーキングとバイクと転職

50のオヤジが2年がかりで転職を目指します。息抜きのブログです。

カブで村を走る(山形市 旧楯山村、旧山寺村)

〇午後になりカブにまたがる。そろそろ飽きてきたがコロナなので市内を村巡りした。


〇山形市の東側には昨日回った千歳や鈴川の村々があるが、その更に奥に村がある。奥羽山脈の麓に位置する村々で現在は山形市に併合されている。


(いよいよ奥の村々だ。山際を走る)


〇古代から近世にかけ、山形と宮城を結ぶ道がたくさんできたが、中でも山形市に入る道は大きく3つある。北から順に、山寺から二口峠を越えるルート、同じく高瀬から二口峠に出るルート、そして関沢から笹谷峠を越えるルートだ。なお、蔵王エコーラインや西蔵王高原道路など、昭和に入ってから開削した観光道路もあるが、街道とは呼べないので除外する。


〇今日はそのうちの北路である、二口峠の玄関に当たる村を回る。2021年9月現在、二口林道は全線開通している。林道なので途中からダートだ。宮城県の秋保温泉に出る最短ルートで観光の時期だけ藪払いされる。猿とクマに注意だ。


〇北路の玄関、楯山村。風間、青柳、十文字、吉野の4集落からなる。昭和23年の人口は5,011人。村役場は風間にあった。


(写真1 高禅院の駐車場が楯山村役場跡)


〇小さな雑貨屋を見つける。老婆2人が世間話をしている。村役場の位置はどこかと聞くと道向かいと答える。「私が嫁に来た時、ここが村役場だって教えてもらったよ。」かつて他村から嫁に来た女性が一番先に教えてもらう場所が村役場だった、というのはなんとなくうなずける。見ず知らずの村で不安な生活の中、頼れるものは限られていたと思う。


(写真2 山寺街道と風間の街並み)


〇「とごろでおめさん、どごがらきだ?」カブのナンバーを見て一安心のようだ。コロナの恐怖がここにもあった。「住職が村のことに詳しい。尋ねたらいいべ。」と勧められたが午後遅く出発した俺だ。話が長いと、ここ1村で終わる。おばあちゃん達にお礼を言って先を急ぐ。


〇山寺街道を走る。段々傾斜が厳しくなる。ここは一度自転車で登ったが結構な坂だ。山寺まで一方的なアップクライムが続く。カブなら超快適。デコデコと空冷単気筒エンジンの心地よい爆発音と振動を伴いながら坂をズイズイ登って行く。ただ、50カブだと少し辛いかもしれない。


(写真3 カブにはこういう風景が良く似合う)


〇と、道を間違えていた。高瀬村に入っていた。あわてて引き返す。


(立谷川沿いに東進する)


〇山寺街道に戻り山道を登ることしばし。山寺村に着く。下は金がかかるので風雅の国の駐車場に停めるが


(写真4 長期休業中の風雅の国)


〇コロナ禍の恐さだ。円仁さんが買えない。山を下りると


(写真5 山寺村の中心部)


〇山寺村は二口峠の入口にあたり、宝珠山の門前町として栄えた村だ。芭蕉の句で知られている。山寺、荒谷の2集落からなる。昭和23年の人口は5,031人。東西方向に立谷川が流れており、村は川沿いに細長く続く。


〇さて、ここからが大変だった。村役場の場所が分からない。対岸に渡ったり、道行く人に尋ねたり。誰も分からない。よく考えたらみな観光客だ。あきらめた。


〇帰路、となりの集落に雑貨屋を発見。レジ台近くでお茶を喫するおばあちゃん達に聞き込む。「ああ、もう跡形もねえが松の木が1本生えてるよ。」「カケフ蕎麦のちかくだ!」「カケフソバ屋ですね?」「んだんだ。」「んねずー。カケフの向いだ!」「んね、カケフだ。〇〇さんの家も役場だっけべ?」・・・みな記憶があいまいだが、カケフにいきゃいいらしい。


(写真6 瀧不動そば。山寺村の入口近くにある。)


〇俺が山形人でなければ解読できなかったと思う。「瀧不動」を「タキフ」と簡略。さらになまって「カケフ」。


〇蕎麦を食う。食い終わり店の方に聞き込み再開。嫁さんは知らない。お姑を連れてくる。「ああ、3軒下ですよ。お祭り道具の保管庫になってます。その前は山寺医院ってお医者だったけどやめちゃって。村役場はそこにありました。」嫁さんも「知らなかったあ。」


〇こういうのが大事だと思う。こうして嫁さんは役場の跡地を知る。でないとみんな忘れられていく。


(写真7 やっと見つけた旧山寺村役場跡)


〇ちなみに立派な松の木は


(たぶんこれだね)


〇この松の木は家2軒分、役場跡地から上がったところにある。このあたりまで役場の敷地だったのかもしれない。見事な蛇松だ。見ながら思う。俺には「立派な松が目印」っていう感覚は絶対に生まれない。せわしなく生きてると植物や花に一向に興味を示さない人間が出来上がる。それが不幸とは思わないが、そういう感覚も欲しいな、と思った。


〇今回はここで打ち止めとなった。


〇次なる高瀬村と東沢村は完全に山村だ。が、できればカブで通そうと思う。気楽だし小回りも効く。フレンドリーなバイクだから村人も気さくに話しかけてくれる。お天気もよく楽しい村回りだった。

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